140字を飛び越えて

タイトルの通りです

#19 today is the day

知る権利とTENDER TEMPERというバンドの話。

 

いつだかの記事で、知る権利というバンドの時代が終わり、TENDER TEMPERというバンドがはじまったときのことを書いた記憶がある。それから半年が経ち、彼らは1st demo『よあけ』をリリースした。

それとともに前作『空が明るくなる前に』が、わたしにとってもより一層思い入れの深いものになったので書くことにする。

 

「好きに理由は要らない」ともいうが、好きな理由をはっきりといえる好きがあってもいいと思う。

 

わたしがこのバンドを好きな理由は、彼らが“自分自身で歩くためのエネルギーをくれるバンド”だからだ。

もっといえば、歌詞やことばの意味を自分なりにかみ砕いて、繰り返して、落とし込めるという部分に魅力を感じているためである。

 

先日、知る権利の最期の日ぶりにPEAK ACTIONというライブハウスで彼らを観た。しかも、PA卓の横というその時とまったく同じ場所で。

半年前のあの日となんら変わりないようにも思えたけれど、彼らはちゃんと進んでいたし、確と変わっていた。

萬屋さんが「理由はいつもシンプル」と告げ、ライブは始まる。

1曲目は『Morning Groly』。この曲は前作にある『もう要らない』という曲のタイトルを引用していて、初めて聴いたときからとても好きだった。

そしてわたしはこの部分に“伏線の回収とこれからへの期待”がすべて詰め込まれているのだと、そう思っていた。だが、この日2曲目に演奏された『もう要らない』という曲を聴き、まだまだ自分の解釈が甘かったことを認識させられた。

 

『空が明るくなる前に』と『よあけ』のあいだ。大きくて深い溝。彼らはその間に名前を変え、苦しく暗い期間を乗り越えて来たのだ。

 

説明すればするほど野暮かもしれないが、この2作のタイトルの情景を想像してほしい。繋がっている。素晴らしく伏線を回収している。言い換えれば、バンド名が変わるという変化が伴っているのにも関わらず、彼らの作品は一続きになっている。

 

知る権利としてのラストライブの日、わたしは仙台で別の予定があり、ほぼ足を運べないことが確定していた。それでも、観ておかないと後悔する気がして、走って新幹線に飛び乗り、駅からライブハウスまでもひたすらに走って、なんとか間に合って立ち会うことができた。

あの日、あの場所にいなければ、2018年7月29日の感動はもっと薄かったかもしれない。

 

この2つのライブが繋がってあるように、きっと音楽やライブに限らず、日々の暮らしの中でも気づかないうちに張っていた伏線が回収される瞬間はきっとあるんだと思う。点と点がつながる、といえば感覚的にわかるだろうか。

 

だから、ちゃんと腐らず嫌なことをこなしたり、好きなことに全力になったり、できたら良いなあと思えた。

 

大変なことも、やりたくないことも、やめたいことも、続けたいことも、認めてほしいことも、やりたくて仕方がなかったことも、やらなかったことも、やれなかったことも、ふと読んだ本もふと観た映画も、誰かと交わした会話も、きっと無駄じゃないんだ。